うさ子戦隊エリザベス

 

ストーリー

第15話「染められた白」

ワイティは気づいていた。ヴァイオレットとネイブルの洗脳がほとんど解けていて、それでもなお自分に付き合ってくれていることを。そして、初めて攻撃を食らった前回の戦闘で、一瞬浮かんだ昔の記憶を思い出していた。
占領される母星ラピーヌ、さらわれる兄弟、洗脳される自分。
戦うことを純粋に楽しんでいた、洗脳されていた頃の自分を思い出し、後悔ばかりがつのる。
思いつめた様子のワイティをヴァイオレットが心配そうに見ていたが、ワイティは気づかず今日も街へエネルギーを集めに行こうと立ち上がるのだった。

晃司とひかりが買い物をしていた。数年振りに店を手伝うようになった蒼太に声をかけたり、同じく買い物をしている碧と安売りの情報交換をしたり、珍しく昼間から2人で買い出しに出ている亜弓とマスターと合流してみたりと、つかの間の平和を満喫していた。
最近この街に配属されたらしい警察官に誘拐と間違われかけ、しょげるひかりだった。

買い物から帰ろうとした2人が見かけたのは、ワイティに操られた公園の子供たち。
変身して仲間を呼び出し、ポーズを決める。子供相手なら楽勝かと思ったが、大勢で迫ってくるため、どうしようもない。攻撃はしたくないし、逃げてしまって車にでもぶつかったらと思うと、何もできなくなってしまう。
困っていたのはエリザベスだけでなく、ワイティも同じだった。
まだ敵側でいるべきだと思っていたワイティは、子供だったらエリザベスにとって有利だろうと考えたのだが、逆効果だったのだ。おろおろするばかりのワイティと、子供たちに大きな風船のように胴上げされているエリザベス。見た感じ平和だが、修羅場であった。
そんな修羅場の中、エリザベスの通信機に通信が入った。シルバーかと思いきや、ネイブルからだった。割り込んでみたとニヒルに言ってのけるネイブルは、子供たちに被害の及びにくい、自然の力で抵抗してみろとアドバイスをし、一方的に通信を切った。腑に落ちないが背に腹は変えられないエリザベス。ピンクのステッキで風を起こし、子供たちの動きを止めることに成功した。そしてレッドがワイティに一太刀あびせると、ワイティは消え、ヴェールの一部が地面に落ちたのだった。

基地に戻ったワイティは、ひとりエネルギー装置で傷を癒しながら、記憶を取り戻してしまったと一粒涙を落とすのだった。

(つづく)