うさ子戦隊エリザベス

 

ストーリー

第8話「気になるあいつ」

蒼太の通う高校は、隣町にある。
いつも通り時間ぎりぎりに登校し、いつも通り退屈な授業を受け、帰宅部の活動として家に帰るつもりだった。

授業が始まる頃、異変に気づいた。クラスに見覚えのない生徒がいたのだ。
その生徒は、人間というよりは模型のようで、不自然な動きをしていた。
蒼太が近づこうとすると逃げ、気にしないようにつとめると近づいてきた。
ストーカーにつきまとわれるというのはこんな気分なのかと思いながら、蒼太は休み時間のたびに逃げ回った。

昼休み、シルバーから通信が入った。
あまり良くは思っていないものの、今は救いの光に見えたその通信画面に向かって、蒼太は助けを求めた。
しかしシルバーの答えを聞く前に、通信が途絶えてしまった。
青ざめる蒼太の後ろには、模型のような生徒が立っていたのだった。
声にならない叫び声をあげ、変身しようとするが、模型に気づいていないらしい他の生徒が気になってしまう。
変身後の姿が誰よりも気に入らない蒼太は、変身場所を探し、また必死に逃げるのだった。

なんとか逃げ切りつつ授業も受けきった蒼太だが、放課後になると疲労困憊であった。
そのせいか、突然現れたワイティにも、危険を感じて助けに来たシルバーにも気づかなかった。
ワイティいわく、模型は意図せず心を持ってしまい、ワイティの手に負えないという。
そしてさらに、模型は蒼太に惚れてしまったのではないかとも言った。
ゆっくり振り返る人体模型の顔を初めて見た蒼太は、気絶しながら、入学当初、人体模型の掃除をやらされたことを思い出していた。

結局、エリザベスにより人体模型は壊され、蒼太はなんとか平和な高校生活を取り戻したのだった。

(つづく)