うさ子戦隊エリザベス

 

ストーリー

第22話「ただいま」

ダークブラウン総帥の部屋はすぐに見つかった。扉を開け、広い部屋の奥まで入ると、幕に閉ざされた総帥の影から声が聞こえた。装置のエネルギーが解放されるのを感じたという総帥は、そのエネルギーを使い歓迎してやると言うやいなや、エリザベスに向かって光線を放ったのだった。
かろうじて光線を避けたエリザベスだったが、初めて見る攻撃に戸惑っていた。それでも気を持ち直し、まずは幕を排除しなくてはと迎撃し始めた。しかし斬っても叩いても、魔法弾を当ててもびくともしない幕。それでいて、幕の向こうからの光線は飛んできていた。イエローの盾で光線は吸収できず、跳ね返しても、エネルギーが元に戻ってしまうだけで、効果は感じられなかった。いったいどうしたらいいのかとネイブルに聞くレッドだったが、ネイブルは総帥のエネルギー切れかシルバーたちの合流を待つしかないと答えるのみだった。

シルバーとワイティは、かつて自分たちが囚われていた部屋へ来ていた。そこにいたのは、衰弱しきったオレンジをはじめとする、ラピーヌの住人たちだった。檻どころか鍵すら無い部屋に、助けに来たと宣言するのもはばかられるほど、人々はぐったりと横たわっていた。狼狽するシルバーに対し、ワイティにはひとつ案が浮かんでいた。エネルギー管理装置を解放すれば、人々を癒せるのではないかと考えたのだ。すぐに装置を解放しに行くワイティ。シルバーは自分の足がつかまれるのを感じていた。それはオレンジの手だった。オレンジの顔は憎しみに歪み、記憶の中のオレンジとは似ても似つかなかった。まわりの住人たちも同じように苦しんでいた。それなのに、自分たちは敵味方に別れ小競り合いをしていたのかと悔やむシルバーだった。つかまれた足もそのままに、オレンジを抱きしめていた。
遠くで破壊音がした。ワイティがエネルギー管理装置を破壊したのだ。すると部屋にいる人々が、煙のように消えていった。シルバーは呆然としていたが、思い直し、確信した。この部屋の人々はすべて、幻だったのだ。合流したワイティに、王家以外の住人が囚われている部屋へ案内するように言い、シルバーは走りだした。このままでは、エリザベスが危ない。

目的の部屋にたどり着いた2人が見たのは、気持ちよさそうに眠っている住人たちだった。2人は、エリザベスたちが自分らに向けていた感情を初めて理解したのだった。そして、それでこそラピーヌの住人だと笑いあった。
起こされたオレンジは、2人にとびついた。2人が生きてると信じていたから、住人を眠らせてエネルギーを消耗させないように頑張れたのだと、泣きながら笑って言った。拍子抜けしたと思ったことを詫びつつ、2人は諸悪の根源をつぶしに行こうとオレンジを誘い、オレンジは笑顔で答えるのだった。

そして3人は総帥の部屋に向かって走り出した。

(つづく)