うさ子戦隊エリザベス

 

ストーリー

第7話「守りたいもの」

街の中心である駅よりほど近い託児所から、碧が出てきた。
それを追うように母親が、買い物の追加を頼む言葉をかける。
碧はとっさにメモを取り、駆け足で商店街へと向かった。

託児所は碧が産まれる前からずっと続いており、碧は幼い頃から、わが子よりも預かった子供の世話を焼く親を見て育ってきた。
おかげで手のかからないおとなしい良い子のまま大人になろうとしていたが、ぼんやりしていることも多く、このままでは流されるまま親の後を継ぐことになるのでは、と友達に心配されるほどだった。彼女自身は、親が自分をどう思っているのかだけが気になるのだ、と小さくつぶやくのみだった。

買った弁当を手に、近くのマンションを見上げる碧。このマンションが建ってから、託児所が忙しくなったため、多少なりとも恨みがあった。
親に反抗心を抱いたことはないが、幼い頃いちどだけ、家を飛び出したのを思い出した。
そのときは、いつも弁当屋の中にいた少年に声をかけられ、公園で胸に詰まった想いを聞いてもらってスッキリしたんだっけ、と視線を思い出の場所へと移す。
そこには、蒼太がいた。
驚く碧だったが、目が合うより前に母親からの頼まれ事を思い出し、あわてて帰るのだった。

託児所に戻ると、そこにはワイティにより命を吹き込まれたベビーカーやベビーベッドが暴れていた。
両親を呼びながら中に入った碧は、必死で赤ん坊を守る2人を見て、激昂した。
自分よりも、預かった赤ん坊を優先するのか、と叫んでいた。
母親は未来ある命を守るのは当然のことだと答えたが、碧はまた叫んだ。わが子の命は優先されないのかと。
その答えを聞こうともせず外に向かって無我夢中で走り、変身しながら仲間を呼んだ。

戦いながらも、託児所で長い間使っていたベビーカーとベビーベッドが壊れてしまうことを悩むグリーン。
ブルーが大事なのは命だと叫び、率先して壊す。イエローが壊したいだけだろうとツッコんだ。

苦戦することなく勝ち、ワイティもいつのまにか逃げており、そこには壊れたベビーカーとベビーベッドが転がっていた。
託児所から出てきた両親に、碧は幼い頃から自分を見てほしかったことを告白した。両親は謝り、碧を抱きしめたのだった。

涙を拭こうと眼鏡をはずした碧の目に映ったのは、幼い頃に会った少年と重なる蒼太だった。

(つづく)