うさ子戦隊エリザベス

 

ストーリー

第12話「ちいさな波紋」

早朝、ジョギングをする蒼太とすれ違う、バイト帰りの亜弓。シルバーはいないのかと尋ねると、最近はマスターの家に寝泊りし、アイテムの解析をしているという。質問ついでにいつ寝ているのかと尋ねてみたかったが、開店時間から働いているわけではないことを思い出し、質問を飲み込んだ蒼太だった。

亜弓と別れた後、朝倉道場に顔を出す。晃司をはじめとする門下生に軽く手合わせしてもらい、ジョギングを再開するいつものコースだ。意外だがひかりもすでに起きており、炊事や洗濯をしていた。たまに朝食を共にすることもあった。蒼太の家は弁当屋だから、両親は朝から仕込みで店におり、朝食はいつも1人だったので、大人数での食事は居心地が良くもあり悪くもあった。

道場を後にして家に戻り、支度をして高校に向かうと、ちょうど短大へ向かう碧と鉢合わせる。いつからか途中まで一緒に歩くようになった。ぼんやりしている碧にとって、蒼太はとても頼りになった。ただ最近は、昔の姿を投影してしまい、気恥ずかしくもあった。それに気づかない蒼太をちょっとだけ恨めしくも思う碧だった。

短大へ着いた碧に笑顔で挨拶するのはヴァイオレット。彼女はあれから怪しいそぶりを見せることはなく、しかし碧と挨拶以外の接点を持とうともしなかった。実のところ、洗脳は解けきっていなかった。住む場所の決まっていないワイティを家に住まわせるほど、ワイティを大切に思っていたのだった。

家に戻るヴァイオレットを出迎えたのは、ワイティと、ネイブル。彼とヴァイオレットは兄弟なのだった。ネイブルは、バーの近くでマスターを操ったエネルギーに巻き込まれたと言うが、本当のところはワイティにはわからなかった。
いずれにせよ、基地を確保できたため、ワイティはあまり焦らなくなっていた。しかもエネルギーはレーダーを使わずとも、ヴァイオレットに吸収装置を持たせていれば、放っといても集まることがわかったのだ。
いつからか博士への通信も減っていた。

グレイト博士は焦っていた。ワイティからなかなか通信が入らないからだ。こちらからの通信は、貴重なエネルギーを消費してしまうため、最小限にとどめている。ただでさえ朗報の無い地球侵略、予算がまわってこなくなっているのだ。
ワイティには報告書を欠かさないよう命令してあるので、必要以上に期待するのはやめ、発明に力を注ぐことを決める博士だった。

(つづく)